電通総研 テックブログ

電通総研が運営する技術ブログ

ISIDのデザイン組織とデザイナーの実態(リアル)

みなさんこんにちは! ISID UXデザインセンターのマネージャーをしています、児玉と申します。

アドベントカレンダーも、残すところ10日。 濃厚な技術の話が続いておりますが、今日はISIDのエンジニアとタッグを組んでシステム開発を時にはサポートし、時にはリードしていくデザイナーたちの紹介です。

深~い技術トークの間に挟まる一服の清涼剤、あるいはシウマイ弁当のアンズのつもりで書いています。ISIDにはこんな人たちもいるんだなぁ、くらいの気持ちでご覧になってください。

そもそもISIDにデザイナーっているの?

よくこんな質問を社外から、時に社内からすら受けることもありましたが、ISIDにはデザイナーがいるんです! 2021年の1月に、UXデザインセンターという横断型デザイン組織が立ち上がりました。

ISID UXデザインセンター

近年、さまざまなSI企業やコンサル企業が次々とデザインファームを買収したり、自社で立ち上げるなど、業界全体で「デザイン」重視の動きが広がっています。コンシューマー向けのサービスだけでなく、ユーザーが限られる業務システムであっても、きちんとユーザーのインサイトをとらえ、使いやすく価値のあるシステムを開発しようという潮流は年々強くなっています。

この流れを受け、さまざまな部署やプロダクト担当に散らばっていたデザイナーを集結させる形で、UXデザインセンターという社内ブティックが組成されました。基本的には現在のUXデザインの主流となっている人間中心設計(Human Centric Design)の考え方にもとづいており、人間中心設計機構(HCD-Net) に企業として協賛、認定資格を持つデザイナーも多数所属していたり、資格取得支援もしています。

ISIDのデザイナーって何してるの?

ISIDのデザイナーの仕事は、大きく分けて以下の4つです。

  1. 顧客向けにUXデザイン~UIデザインの提供
  2. 自社製品におけるUX向上のための活動
  3. 新規事業、研究開発におけるデザインプロセスの実践
  4. 社内に向けたデザインノウハウの浸透

一つずつ見ていきますね。

1.顧客向けにUXデザイン~UIデザインの提供

ISIDが主事業とする主に業務向けシステム開発(SI)案件において、デザイナーがエンジニアとともに参画。UI(インターフェース、見た目)にとどまらず、インタビューやアンケートなどのリサーチ、ワークショップ等によるコンセプト策定と要件定義、などのいわゆるデザイン思考にもとづいたHCDプロセスを提供しています。これがUXデザインセンターの活動の半分近くを占めています。

さらに最近は、「業務に課題はあるが、何をしたら/どういったシステムを作りたいかわからない」と、システム開発の手前で相談いただくケースが増えています。そこでもデザイン思考のプロセスを活用し、課題抽出や解決方針の策定などを行うビジネスデザインの仕事も始まっています。

この領域では電通グループとの協業も積極的ですね。電通グループのさまざまなチームにアクセスし、従来のSIerと全く違うサービスが提供できるのはUXデザインセンターの面白さです。直近ですと、電通の事業開発コンサルティング組織である「電通ビジネスデザインスクエア」と協業した組織開発支援なども行いました。

2.自社製品におけるUX向上のための活動

ISIDは、幅広い業種・業務向けの自社ソリューションを保有しています。UIのトレンドやデバイス・インフラの進化などによりUX設計やUIにもバージョンアップが求められます。そこでUXDCのデザイナーが開発メンバーの一員として参加し、リサーチによって改善方針の策定したり、UIの改善をしています。

リサーチからデザイン、リリースまで足の長い仕事になることも多いですが、その分ユーザーの反応にダイレクトで触れられるのはとても充実感があります。

3.新規事業、研究開発におけるデザインプロセスの実践

ISIDは受託や製品開発だけでなく、新規事業創出を継続的に行っています。新規事業チームに加わり、アイディエーションを支援したり、事業のコンセプトを固めたり、プロトタイプのUIをつくったり……とここでもデザイナーが活躍しています。

受託や自社商品だけでなく、自分たちで新規事業に取り組み、形にしていく。デザイナーとしてそのプロセスに触れることができるのも、UXデザインセンターの面白さですね。

4.社内に向けたデザインノウハウの浸透

私たちは頑張って日々いろいろなデザインをしていますが、それでもISIDの全案件のデザインを担当することはできません。デザインの力を企業の競争力にするためには、「非デザイナーのデザイン力」がとても重要だと感じています。

特にグローバルテック企業では、エンジニアとデザイナーの比率が10:1~8:1程度を目標としており、ISIDでそれを実践しようとするとデザイナーは100名ほど必要な計算となります。足りなすぎるよ! https://jp.techcrunch.com/2017/06/02/20170531here-are-some-reasons-behind-techs-design-shortage/

そこでUXデザインセンターでは、定期的に社内で勉強会を開催したり、初心者向けの教育コンテンツを用意したり、デザインに関する情報をTeamsで流通させるなど、非デザイナーのデザイン力を高める取り組みも行っています。(デザインの輪をひろげていく、という言い方をしています)

と、ざっとお話ししましたが、案件の種類だけでも顧客案件(SI)・自社案件・新規事業と分かれ、それぞれに×業種数があり、さらに提供サービスもUIデザインからリサーチ、ビジネスデザインまで多様で、しかも社内人材育成も行っていて……。とにかくデザインと名の付くあらゆる角度の相談が入り続け、対応し続けているとても幸せな状況です。

ありがたいなぁ。

(いま手元で2021年に対応した案件を数えたら82案件ありました……)

UXデザインセンターの雰囲気

UXデザインセンターはISID唯一のデザイン組織ということで、独自の雰囲気をもっています。愛と偏見を込めて、いくつかご紹介します。

多種多様なバックボーン

現在15名程度のデザイナーやデザインディレクター、プロデューサー、UXリサーチャーが所属していますが、中途採用のメンバーがほとんどで、それぞれにバックボーンが多様です。

新卒でエンジニアから転身したもの、事業部で長いキャリアを積んできたもの、デザイン会社からより広い業務経験を求めて転職してきたもの、C向けサービスの企画会社から来たもの、元スタートアップのデザイナー、ゴリゴリの営業からデザインプロデューサーになったもの、そして電通から来ているもの(私)など……

得意領域がそれぞれ異なるため、悩むことがあったら「とりあえず、あの人に聞いてみよう」となりやすいです。とにかく多様な案件があるので、同じくらい多様な人材がいることで新しい課題に対する学習コストが低く済みますし、何より話していて楽しいのでこれからも多様性を大切にしていきたい。

ちなみに数少ない共通点としては、楽器ができる人が多いです。なぜだろう……

フラットな組織

また組織づくりにおいてはフラットさと透明性を最重視しています。 デザインのプロセスはそもそも、リサーチからコンセプトづくり、UIデザインまでひとつながりのものです。組織においても、大まかな個人の特技・適性はありますが、「この人は〇〇担当」と枠にはめることはしていません。クライアントワークから新規事業、UIデザインからビジネスデザインまで、希望に沿って多様な案件に触れられる動的なアサインを行っています。カチッとした「先輩後輩」ではなく、それぞれのメンバーがそれぞれの得意領域を認識し、プロとして尊重しながら協力しているイメージです。

(と書くと、どんなビジネス本を開いても最初に書いてある当たり前のような話ですが、特に大企業において正面から取り組んでいる組織はあまり多くないように感じます)

ISIDに馴染みすぎていない(良い意味で)

戦略的他者性、とでも言えるでしょうか。 SI業界、特に技術ありきで進むプロジェクトでよくあるのですが、受託案件も自社製品でも時として技術視点で盛り上がってしまいますよね。あれもできる、これもやってみたい、とか……。そしてその結果、いつのまにか「つくりたいもの/つくれるもの」で要件や仕様が固まっていき、ユーザーが置き去りになってしまうことも、稀によくありますよね。

私たちデザイナーはそんな状況に対するアンチテーゼとして、常に「でもそれってユーザーからするとさ……」と言い続ける存在でなくてはいけません。幸いにしてISIDの外や、非テック企業でのキャリアが長い人間も多いため、客観的な視点でアドバイスができるのは私たちの強みです。

もちろん私たちもテクノロジー大好きですし、まだ見ぬ何かを見たい! という欲はありますが、同じくらい人間が好き。ユーザーを見つめて、そこにスッと馴染むものづくりをしたい。理解はするが、馴染まない。 そんな強さのあるメンバーが集っています。

学習意欲が高い

ひとりひとりが新しいスキルを身に着けることに対して非常に貪欲です。 業務系のUIデザインの次はWEBサイトに挑戦したい、リサーチとファシリテーション力を高めたい、デザインディレクターとしての立ち回りを身に着けたい、などの会話がメンバー間でよくされています。マネージャーとしてはできるだけそのリクエストに応えられる案件をアサインできるよう工夫していますし(これはとても大変です)、手ごろな案件がなければ近くの部署の活動に自分から声をかけ、体を突っ込んでいくこともあります。

表面上はクールで「チルい」雰囲気の方が多いですが、その裏には「次はあれをやりたい、これを身に着けたい」という熱意がほとばしっているようです。

まとめると、 - 個々の多様なキャリアを踏まえ、リスペクトしつつ - できるだけフラットな関係性で - 技術の会社であるISIDを理解し、しかし馴染みすぎることなく - 常に向上心を持って - とにかく多種多様なデザインに、全力で取り組んでいる そんなデザイン組織が、私たちUXデザインセンターです。

UXデザインセンターが気になったあなたへ

noteもあるので見てください! https://note.com/isid_design

今回は組織のご紹介でしたが、いずれ気が向いたら、ISIDのデザインへのこだわりや方法論などをお話しさせていただくかもしれません。それでは!

執筆:@g-uxdc、レビュー:@sato.taichiShodoで執筆されました