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Stable Diffusion入門-レンズ

電通国際情報サービス、オープンイノベーションラボの比嘉康雄です。 Stable Diffusionシリーズ、今回のテーマはレンズです。 Stable DiffusionはAIカメラなので、どのようなレンズを使うかどうかはとても重要です。カメラの知識が必要ですが、基礎から丁寧に説明するので大丈夫です。

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レンズの属性

レンズは、

名前 焦点距離 F値

のような属性を持っています。例えば、

SIGMA 85 mm F/1.4

の場合、名前はSIGMA焦点距離は85 mm、F値は1.4になります。SIGMAは、レンズ名というより、メーカー名です。レンズ名だとSIGMA Art Lensのようになるのですが、レンズ名まで指定しても影響はあまりないようです。

焦点距離

焦点距離とは、レンズの中心からイメージセンサーまでの距離です。イメージセンサーとは、アナログフィルムのデジタル版だと思えば大体あっています。 焦点距離が短くなるほど、広い範囲を写せます。窓に近づくほど、広い範囲の外の景色が見えるようになるのと一緒です。 焦点距離が長くなるほど、見える範囲は狭くなりますが、遠くのものを大きく写せます。 この講座では、次の4つの焦点距離を使います。

24 mm: 風景を広範囲に撮ったり、寄って撮影するときに使う。

85 mm: 基本はこれ。

105 mm: マクロ撮影(小さいものを拡大して撮影)するときに使う。

300 mm: 遠くにあるものを撮るときに使う。

Promptで使う場合、数字とmmの間は、ブランクを開けてください。ブランクがなくても動きますが、ブランクがあったほうが再現性が高くなります。

F値

F値(の最小値) = 焦点距離 ÷ レンズの口径です。焦点距離が同じ場合、レンズの口径が大きくなるほど、F値は小さくなります。レンズの口径が大きくなるほど、取り込める光の量が増えます。F値の小さいレンズを明るいレンズといいます。 大抵のレンズには、絞りがついていて、取り込む光の量を調節できます。絞るとは、取り込む光の量を減らすことです。レンズの口径を小さくするのに似ています。つまり、F値は大きくなります。

F値が小さくなるほど、ボケは大きくなります。ボケとは、ピントの合っている部分以外がボケて見えることです。

犬の背景がボケていますね。 この講座では、次の3つのF値を使います。

1.4: 一番良く使うF値

2.8: 焦点距離300 mmのときに使う。

5.6: マクロ撮影(小さいものを拡大して撮影)のときに使う。

Promptで使う場合、F/数字にしましょう。F数字でも大丈夫です。

SIGMA

いろいろ試した中で、SIGMAのレンズが最も再現性が高く感じたので、このレンズを使って説明します。お気に入りのレンズがあればSIGMAの部分を置き換えてください。

SIGMA 85 mm F/1.4

今回の講座の標準レンズ。 Promptはこちら。

a photo of a dog in a park,
SIGMA 85 mm F/1.4,
golden hour,
award-winning

golden hourは夜明け直後か日暮れ直前の、太陽の光が柔らかく赤みを帯びている時間帯のことです。外で撮る写真は、golden hourに撮るといい感じに見えます。 award-winningをつけるとなんとなく、見栄えのより写真になる気がします。

出力された画像はこちら。

SIGMA 24 mm F/1.4

広角(視野範囲が広い)で風景などを撮るか、対象に少し寄って撮るレンズ。今回はちょっと対象に寄って撮ります。 Promptはこちら。

a photo of a dog in a park,
SIGMA 24 mm F/1.4,
golden hour,
award-winning

85を24に変えただけです。

出力された画像はこちら。

24 mmは、広角レンズに分類されますが、広角レンズ特有の歪みも少なく、使いやすいレンズです。

SIGMA 300 mm F/2.8

遠くにあるものを拡大して撮影する望遠レンズです。 今回は、空を飛んでいる鳥を撮影してみましょう。 Promptはこちら。

a photo of a bird flying in the sky,
highly detailed,
SIGMA 300 mm F/2.8,
golden hour,
award-winning

なにかを大きく撮影したい場合は、highly detailedを指定します。

出力された画像はこちら。

SIGMA 105 mm F/5.6

小さいものを撮影するマクロレンズです。 蝶を撮影してみましょう。 Promptはこちら。

a photo of a beautiful butterfly on a flower,
highly detailed,
SIGMA 105 mm F/5.6,
award-winning

出力された画像はこちら。

4つのレンズを試しました。状況によってどのレンズを使えばいいか、なんとなくでもつかめましたか?

シャッタースピード

シャッタースピードを調整することで、写真を生き生きとしてモノにできます。シャッタースピードを速くするには、短時間で撮影に必要な一定量の光を集めることが必要です。

光を短時間で集めるには、明るいレンズ(F値の低いレンズ)で絞りを開ける、ISO感度を上げるという方法があります。ISO感度とは、光を電子的に増幅させる性能です。ISO感度を2倍にするとシャッタースピードを二倍速くできます。ISO感度の基本は100になります。ISO感度を上げるとノイズも増幅されてしまうので、単に上げればよいというものではありません。

1/1000 sec shutter

瞬間を切り取りたいときは、1/1000 sec shutterでシャッタースピードを1/1000秒にするのが良いでしょう。今回は、F/1.4の明るいレンズを使います。ISO感度は、時間帯など状況に合わせて調整してください。 波しぶきを撮影してみましょう。

今回のPromptはこちら。

a photo of beautiful ocean spray,
golden hour,
SIGMA 85 mm F/1.4,
1/1000 sec shutter,
ISO 400,
award-winning

時間帯をgolden hourにしたので、ISO感度を400にしました。

出力された画像はこちら。

ocean, 5 sec shutter

海など、動きがゆっくりのものをシャッタースピードを遅くして撮影すると、幻想的な写真が取れることがあります。 今回のPromptはこちら。

a photo of beautiful ocean,
golden hour,
SIGMA 24 mm F/1.4,
5 sec shutter,
award-winning

出力された画像はこちら。

cars with lights, blue hour, 1/10 sec speed

暗くなった時間帯に、ライトを付けた車をシャッタースピードを落として撮影すると、美しい光の残像を撮ることができます。 今回のPromptはこちら。

a photo of cars with lights speeding on highway,
blue hour,
SIGMA 85 mm F/1.4,
1/10 sec shutter,
award-winning

blue hourは、日の出前と日の入り後に発生する空が濃い青色に染まる時間帯のことです。

出力された画像はこちら。

panning shot, 1/20 sec shutter

パン撮影は、動く被写体と一緒にカメラを動かし、被写体にピントを合わせて背景をブレさせる手法です。panning shotのキーワードを使いましょう。シャッタースピードは少しだけ落とします。この撮影法は、再現性が低いので、うまくいくまで何度も試してください。 今回のPromptはこちら。

a panning shot of a car,
SIGMA 300 mm F/2.8,
1/20 sec shutter

望遠レンズを使ったほうが再現性は高くなります。panning shotというキーワードを見つけるのに、100回以上、トライアンドエラーを繰り返しました。motion blurというキーワードもあるのですが、ほとんどの場合、被写体もブレてしまいます。 背景だけブレさせるというのが難しいのです。

出力された画像はこちら。

かなり疾走感のある画像になっていますね。

まとめ

今回は、レンズといろいろな撮影テクニックについて解説しました。 次は、画像タイプについて解説します。

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執筆:@higaShodoで執筆されました