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クリスマスにまだ間に合う!?HMD被り比べてみた

こんにちは!Xイノベーション本部 エンタープライズXRセンターの加納です。
この記事は電通国際情報サービス Advent Calendar 2022の15日目の記事です。

もうすぐクリスマスですが、プレゼントの用意は出来ていますか?まだですか?まだですよね?
そんな方のために大貫サンタさんが靴下から取り出したのは…
HMDです!

HMD」という単語にピンとくる方は少数派かもしれません。HMDとはHead-Mount-Displayの略で、つまりはVR体験をする際に頭に被る、アレのことです。

加納と大貫サンタは3D・VR関係の部署に在籍しているため、今日はそんな部署ならではの機材を紹介していこうと思います。
個人で使用されているものだけではなく、事業者向けによく使用される機種も比較に入れてご紹介いたします。

比較していく機種は以下です。

  • Meta Quest2
  • Meta Quest Pro
  • VIVE Pro2
  • Varjo Aero
  • Varjo XR-3

以上の5機種が今回被り比べの対象となります。
性能面ではさまざまな記事が出ていますので、この記事での主な比較点は

  • 重さ
  • サイズ
  • 価格、入手難易度
  • メガネを装着したまま被れるか?

を重視して被り比べをしていきたいと思います。ではいきましょう!

Meta Quest2


世界で最も普及しているHMDと言ったらコレなのではないでしょうか。上の画像ではデフォルトのゴムバンドをEliteストラップに付け替えています。
スタンドアローン・外付けセンサー不要で稼働し、被った状態で外部を確認することもできます(白黒画像)。スタンドアローンではありますがPCに接続して動かすこともでき、Steamのゲームもプレイできます。
デフォルトのゴムバンド装着での重さは529g(参考値)
Eliteストラップ装着での重さは650g(参考値)
と、非常に軽量なのが特徴です。 被ってみるとこんな感じです。
大貫サンタ「いつものって感じ」
ExRCではメンバー全員がQuest2を所有しているため、被るとあーこれだこれーと思ってしまうんですよね。一番稼働率の高いHMDです。

お値段は59,400円(2022年12月現在/公式価格)とお求めになりやすい価格、かつ家電量販店でも販売しており入手難易度も低いため、クリスマスプレゼントの第一候補になるのではないでしょうか。

Meta Quest Pro


去る2022年10月に発売されたHMDで、上に出てきたMeta Quest2の上位機種です。 重さは718g(参考値)
似たような形状のEliteストラップ装着時から比較しても70g程度の増量ですが、被った感じはいかがでしょう?
大貫サンタ「前が薄い!帽子のままでも被りやすい!あとQuest2より軽く感じる。前後のバランスがいいのかな」
Quest Proでは、Quest2にあった頭頂部をおさえるゴムバンドがなくなったことで格段に被りやすくなりました。髪型も崩れにくくなってありがたいですね。
スタンドアローン・外付けセンサー不要・PC接続可能なのは同じですが、外部確認カメラがカラーになったのが大きな変化です。これによりAR(拡張現実)的な使い方がしやすくなりました。
加えてアイトラッキング(視点を読み取る)・フェイストラッキング(表情を読み取る)などが搭載され、できることの幅が広がりました。

顔と画面の隙間は広めで、隙間からは外の光が入ってきます。オプションパーツで埋めることも出来ますが、パススルーの精度が高く外部が鮮明に見えるためかARゴーグルのような感覚があり、個人的には開いたままでいいなあという印象です。

お値段は226,800円(2022年12月現在/公式価格)とお高め。ですが装着感もできることも大幅に変わっているため、高すぎ!といった印象はありません。
まだ家電量販店で現物を手に取ることは出来ませんが、Metaの公式通販から購入できるため入手難易度は低め。クリスマスに間に合うかは…お住いの地域次第かな?といったところです。

Vive Pro2


VRの先駆者、HTC Viveの上位製品です。Meta Quest(当時はOculus Quest)が登場するまでは、VRといったらVive!という感じでしたね。Pro2は耳に可動式のヘッドホンがついているのが特徴的なデザインです。
重さは846g(参考値/コードが机についた状態)
Vive Pro2はPC接続で稼働し、稼働には外付けセンサー(ベースステーション)を必要とします。
大貫サンタ「Meta系と比べるとかなり大きく感じる。でも重さに偏りがなくて安定してる」
外付けセンサーと言うと煩雑な感じがするかもしれませんが、フルトラッキングをしたい場合にはVive公式でトラッカーが別売りされていますので、外付けセンサーありの製品を選択するのがおすすめです。

お値段は178,990円(2022年12月現在/フルキット/公式価格)でセンサー(ベースステーション 2.0)が2台同梱されています。
家電量販店で見ることは少ないですが、公式通販で入手が可能です。クリスマスに間に合うかは…Meta Quest Proと同じく、お住いの地域次第でしょうか。

Varjo Aero


フィンランドに本社を構えるVarjoの製品です。ここからはエンタープライズ色が濃くなってくるため、個人で持っている方がぐっと減るのではないでしょうか。
重さは720g(参考値/コードが机についた状態)
と、Meta Quest Proとおよそ同じくらいの重さです。
こちらもPC接続で稼働し、稼働には外付けセンサーを必要とします。
大貫サンタ「前に重心がある感じ、でも全体がそんなに重くないから大丈夫」
Varjo Aeroは軽量ながらVive Pro2よりも表示解像度が高いです。解像度が高いだけではなく、中心に向かって27PPD~35PPD(PPD…1度あたりのピクセル数)へと解像度が高くなっていきます。
Varjo製品は自動でPD(瞳孔間距離)を調整してくれます。これにより鮮明に映像が見えるほか、VR酔いもしにくくなります。

お値段は316,800円(2022年12月現在/公式価格)とお高め。ですがこの解像度を味わうと他のVRにはなかなか戻れないかもしれませんね。
注意していただきたいのが、Varjo Aeroは紹介する5機種のうち唯一外部確認(パススルー表示)ができないタイプのHMDだということです。解像度は高いですが、用途を十分に確認した上で検討してみてください。
家電量販店では見かけないですが、公式通販で購入が可能です。ただし後述のVarjo XR-3と同じく外部センサーの入手がしづらいため、トータルでの入手難易度はちょっと高めです。

Varjo XR-3


こちらもVarjo社の製品で、紹介する中では最もハイエンドな機種になります。
重さは1008g(参考値/コードが机についた状態)
堂々の1㎏超え。見えますか、ごっつい排気口がきらめいているのを。XR-3は作動するとかなりの熱を持ちます。
大貫サンタ「ずしっと来る。圧倒的に重い…けど画質も圧倒的にいい」
外部確認できるカメラの精度が高く、一度被るとついつい外さずにカメラであれこれ済ませてしまいがちですが、これだけ重いものを長時間被っていると首が筋肉痛になりますので気を付けましょう。
Aeroは解像度が徐々に高くなる構造でしたが、XR-3は視野の中心にあたる部分に別のディスプレイを搭載しており、中心部は71PPDを誇ります。
なお視力2.0の人の目は、60PPDを超えるとピクセルを見分けることが出来なくなるそうです。ですのでXR-3は人間の目の解像度を超えたHMDであるといえます。とんでもないですね。
こちらもPC接続で稼働し、外付けセンサーがなくても稼働しますが精度を高めるためにはセンサーが必要です。

問題の入手難易度についてですが…XR-3はエンタープライズ用途が主であるため一般での販売はされていません。また昨今の円安や半導体不足もあり、価格もはっきり示すことが出来ません。
だいたいコンパクトカーと同じくらいの値段だと思っておいていただけると良いかと思います。恐ろしいですね。

Varjo Aeroの項目でも出てきたセンサー(ベースステーション)についてですが、現在単体での入手が困難となっています。ですのでセンサーを同梱しないがセンサーを必要とするタイプのHMDを購入される際には、Vive Pro2などHTC製品のフルキットを購入しベースステーションを入手する必要があります。これも入手難易度を上げる一因となっています。

ExRCに問い合わせていただけたらまるごとご相談に乗れるんですけどね!(宣伝です!)

メガネとHMD

ここからは横道にそれて、メガネ使用者に優しいHMDはどれなのか?を紹介させていただけたらと思います。 ※完全に主観です。個人差やメガネの形状によって変わるものですので、参考程度にご覧ください。

被りやすさ4位タイ

Varjo Aero&Varjo XR-3
ストラップの構造なのでしょうか?装着した後は楽なのですが、装着するのが割と大変です。
具体的に言うと、こうやって後ろから装着するとメガネがあたってしまうので、
前側を先に被る必要があります。メガネをはめ込むような感じです。
コツが必要であることと、かぶった後の位置修正のしにくさから、ちょっとメガネに優しくないHMDだなと判定させていただきました。

被りやすさ3位

Meta Quest2
Meta Quest2にはメガネ装着用アタッチメントが付属しています。
左右の差が分かるでしょうか?
左がアタッチメントを装着したQuest2です。
ばらしてみるとこんな感じで、顔にあたる部分と本体の間に噛ませるパーツがあるのです。
なので正直メガネでも快適に装着できるのですが、全体的に小ぶりなので大きめのメガネはちょっとひっかかります。ということで3位にさせていただきました。

被りやすさ2位

Vive Pro2
こちらはメガネが入る内部のスペースが大きいです。クッションが柔らかくメガネのつるが圧迫されないため、痛くなりません。
クッションの柔らかさが伝わるでしょうか?
※メガネのつるが歪んでいるのは元からです。踏みました。

被りやすさ1位

Meta Quest Pro
Meta Quest Proは顔と画面の隙間が大きく、また主におでこでHMDを固定するのでメガネに干渉する部分がほとんどありません。
指さしているところをくるくる回すことで画面と顔の距離を離すことができ、鼻当てが押さえつけられることもなく快適に使用できます。ですが、光を遮断するパーツを付けるとまた変わると思います。

まとめ

今回紹介した内容を総括した図はこのようになります。
なお価格面、有線無線等は使用状況によって優劣が変わるため順位付けは行っていません。 また繰り返しになりますがメガネとの相性は個人差がありますので、あくまで筆者の場合と思っていただけると幸いです。

個人的にはメガネユーザーとしてMeta Quest Proが好みで、大貫サンタは持ち運びやすさからMeta Quest2が好みだとのことです。

どんどん新しい製品が出てくるHMD。ARグラスの噂も色々気になるものがありますね。
新しい製品は積極的に触って調べて、お客様に適した機材やソリューションを紹介できるよう、頑張らなきゃな!と思いを新たにしたサンタたちでした。

執筆:@kano.nanami、レビュー:@yamada.yShodoで執筆されました