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Ph.D.ホルダーはパッケージ開発の夢を見るか? ~理系院卒の若手から見た人財管理システム開発のお仕事~

こんにちは。HCM事業部5年目の尾形です。

今回は「若手による仕事の紹介」として、理系院卒・HCM事業部所属という立場から私の仕事についてお話しします。記事タイトルはお気に入りの小説から。風景描写が好きです。

簡単な自己紹介

ISIDではかなりレアなのですが、博士後期課程を修了して入社し、HCM事業部に配属されました。 入社のきっかけは、同じ研究室の先輩が先に入社しており、働きやすそうだなと思ったことでした。

最近はインクを塗りあう某シューティングゲームにハマっています。 一応X帯です。

「人財」管理のシステム開発

真面目な話に移ります。

この記事を読んでいる人の多くは就職活動中の方かと思いますが、

HCM事業部

と聞いて何をしている部署か分かるでしょうか? 入社するまで私もよく分かっていませんでした。

HCMとはHuman Capital Managementの略で、日本語では人財管理1と言われます。どの組織にどんなスキルを持った人がいるのか、企業規模が大きくなるほど管理は難しくなります。 そんな課題を解決するため、ISIDでは自社パッケージ2商品である統合HCMシステム「POSITIVE3を提供しています。HCM事業部はPOSITIVEの開発、販売、導入を行っている部署で、私はPOSITIVEの開発に携わっています。

パッケージ開発という仕事

ISIDの業態は何かと聞かれれば、おそらくSIerということになると思います。 SIerであればお客様の要望を伺い、ニーズを満たすシステムを開発していくのが本筋ですが、HCM事業部の仕事は大きく異なります。

POSITIVEというパッケージを開発している以上、特定のお客様の要望に沿って開発するのではなく、利用される全てのお客様にとって価値のある改善を重ねていく必要があります。 POSITIVE製品サイトの導入事例4に掲載されている通り、ANAホールディングス株式会社様や明治安田生命保険相互会社様など、皆さんもよく知るであろう多くの企業様でご利用いただいています。 業種・業態にとらわれない多種多様な企業がお客様となっており、私たちの業務にも非常に大きな責任が伴います。

さらなる人財活用に向けた改善

最近ではISO304145という人的資本情報開示に関する標準化も行われ、社内のみならず投資家からも人財情報活用が注目を集めています。 そんな背景の中、どんな機能・サービスを提供すればお客様に喜んで使ってもらえるかをよく考えて今後の対応を企画することが開発者に求められています。これは既存機能の改善だけに留まらず、全く新しいアイデアを創出する必要もあるため、自由度が高いがゆえに非常に難しい課題です。しかし同時に、これはとてもやりがいのある課題でもあり、私もチームの一員として日々議論を重ねています。

これだけだと意識だけ高いふわっとした内容になってしまうので、具体的に何をやっているのか付け加えておきます。

  • 今後対応すべき内容を決定するための顧客訪問・ヒアリング(オンライン・オフラインどちらも)
  • 人財管理をめぐる市場動向調査(各種資料を基にした調査や、チーム内でのディスカッション)

お客様に影響する法改正への対応

先に挙げたような大きな課題もありますが、他にも直近で対応すべき課題もあります。

POSITIVEは人財情報の管理だけでなく、給与計算、就業管理の機能も備えています6。 特に給与計算においては、社会保険や税制など、毎年のように法制度が改正されるため、その対応が必要になります。 これは特に緊急性が高く、お客様が円滑に業務を遂行するために迅速かつ確実な対応が求められます。

この対応に際し、具体的には以下のような業務にあたっています。

  • 各種開発作業(システム設計、実装、テスト。全てやることもあれば一部担当することもあります。)
  • 開発作業のプロジェクト管理(人員・スケジュール調整、開発体制の運用見直し)

一日のスケジュール

一日のスケジュールとしてはこんな感じです。 9:30始業、主にテレワークでの業務のため、やや夜型な生活になっています。 あくまで一例ですので、日によっては私用のため早く切り上げたり、もう少し遅い時間まで仕事を進めることもあります。

研究も仕事に活かせる

私の大学院時代の研究テーマは無線通信でした。 お察しの通り、当時の研究内容と今の業務内容は全く関係ありません。

しかしながら、研究活動を通して得たスキルは今の業務に大きく活きていると実感しています。

相手に伝えるスキル

研究成果は学会発表や論文という形で外部に公開しますが、自分の研究内容を他者に伝えるのはとても難しいことです。 それでもエッセンスを理解してもらうために、皆さんも伝え方には特に気を配り、苦心していると思います。 伝える内容が異なるだけで、伝え方を考えるプロセスは業務でも日常的に発生します

うまく伝わらないことに起因するディスコミュニケーションは業務に大きな支障をきたしますので、このスキルは一見地味ですが非常に重要です。

論理的思考力

ビジネス書でも良く見る単語ですが、研究活動では必須スキルです。 会社に入ってから研修をわざわざ受けて身に付けることも多いスキルを、研究活動では当たり前のように使っているわけです。

問題は何か、原因は何か、改善すべきポイントはどこか。

こういったことを考え続ける点も、研究と仕事に共通する点の一つと言えます。

学生のうちに勉強しておいた方がいいこと

よく「大学生のうちに勉強しておいた方がいいことは?」と聞かれますが、ビジネス系の知識は入社後からでも十分身に付けられます。 大学に通う期間は(院進学等もろもろ込みでも)10年もないと思います。 一方、会社に入ってから過ごす期間は会社が変わったとしても40年以上あるでしょう。

勉強に励むのはもちろんですが、友人と楽しく過ごす・趣味に没頭する・新しいことに挑戦するなど、今しかできないことに注力してもらえればと個人的には思います。 趣味でやっていたことが仕事の思わぬところで役に立つ、なんてこともあります。 某ゲームでは、味方に気を配り自分のブキができる最大限のサポートをすることが非常に重要です。仕事でも同様に、周囲の状況を見つつ、自分の長所を活かしたサポートをすることがチームのKO勝ちプロジェクト成功につながります。

最後に

ISIDは新卒入社者への教育・サポート体制が手厚く、働き始めるうえで不自由のないよう会社が尽力してくれています。

少しでも興味が湧いたら、是非新卒採用サイトも覗いてみてください。 www.isid.co.jp

執筆:@ogata、レビュー:Ishizawa Kento (@kent)Shodoで執筆されました


  1. 近年ではヒトを資源(Resource)から資本(Capital)として捉える潮流があり、「人材」よりも「人財」という表現を使うことも多いです。
  2. パッケージ商品とは、お店で売っているような既製品のことです。とはいえPOSITIVEは家電量販店等で販売しているわけではなく、お客様から問い合わせをいただいて個別に販売・導入を行っています。
  3. POSITIVE紹介サイト(ISID):https://www.isid.co.jp/positive/
  4. POSITIVE紹介サイト(ISID)-導入企業一覧:https://www.isid.co.jp/positive/case/
  5. ISO30414(ISO):https://www.iso.org/standard/69338.html
  6. グループ展開されている大企業様向けに人事・給与・就業を一括で管理できるシステムを提供していることは、POSITIVEの強みの一つです。